犬用NSAIDsの正しい使い方|獣医師が教える安全な痛み止め

Jun 28,2025

犬用NSAIDsって本当に安全?答えは「正しく使えばとても安全」です!私たち獣医師がよく処方する犬専用の痛み止めは、人間用と違って犬の体に合わせて設計されています。特に変形性関節症や手術後の痛みに効果的で、うちのクリニックでも多くのワンちゃんがこのお薬で元気を取り戻しています。でもね、「安全=何でもOK」じゃないんです。適切な使い方を知らないと、思わぬ副作用が出ることも…。この記事では、15年の臨床経験を持つ私が、愛犬に安全に痛み止めを使う方法をわかりやすく解説します。あなたのワンちゃんが痛みとさよならできるよう、一緒に学んでいきましょう!

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犬用NSAIDsの基本知識

人間の薬は絶対にダメ!

愛犬が痛そうにしている姿を見ると、つい人間用の鎮痛剤を与えたくなりますよね。でもちょっと待って!イブプロフェン(アドビル®)やナプロキセン(アリーブ®)、アスピリンなどの人間用NSAIDsは、犬にとって危険な副作用を引き起こす可能性があります。

例えば、胃腸の潰瘍、腎臓や肝臓の損傷、出血傾向などが報告されています。特にタイレノール®(アセトアミノフェン)は赤血球を破壊し、肝臓に深刻なダメージを与えることがあるので要注意です。

犬専用NSAIDsのメリット

「じゃあどうすればいいの?」と心配になりますよね。実は今、犬専用に開発されたNSAIDsが存在します。これらの薬は、犬の体に合わせて設計されているので、より安全で効果的です。

具体的には、痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンだけをブロックし、胃を保護したり腎臓の血流を維持したりする良いプロスタグランジンはそのまま働かせます。まさに「痛いところだけピンポイントで効く」仕組みなんです。

薬の種類 人間用NSAIDs 犬用NSAIDs
作用の選択性 非選択的 COX-2選択的
安全性 犬には危険 犬に安全
入手方法 市販 獣医師の処方

犬に安全なNSAIDsの種類

犬用NSAIDsの正しい使い方|獣医師が教える安全な痛み止め Photos provided by pixabay

Galliprant®(ガルピプラント)

この薬は特に変形性関節症の長期治療に適しています。他のNSAIDsに反応が悪かった犬や、健康上の理由でNSAIDsを服用できない犬にも良い選択肢です。

副作用としては、嘔吐、下痢、食欲不振などが報告されていますが、一般的に軽度です。うちの近所の柴犬「ポチ」くんもこの薬で元気に散歩できるようになったそうですよ!

Rimadyl®(カルプロフェン)

獣医師の間で最もよく処方されるNSAIDsの一つです。関節炎やその他の炎症性疾患の治療に効果的で、多くの犬がよく耐えられます。

「カルプロフェン」という有効成分は、Captieve®、Novox®、Quellin™などの他のブランドでも販売されています。薬局で見かけたら、「あ、これポチの薬と同じ成分だ!」と思い出してくださいね。

NSAIDsの副作用と注意点

こんな症状が出たらすぐに病院へ

犬用NSAIDsは比較的安全ですが、全く副作用がないわけではありません。次のような症状が見られたら、すぐに獣医師に連絡しましょう:

  • 水を飲む量が急に増えた
  • おしっこの回数が増えた
  • 白目の部分が黄色くなってきた
  • 激しい嘔吐や下痢

「でも、ちょっとした嘔吐や下痢なら大丈夫?」と思うかもしれません。確かに軽度の症状なら心配いらない場合もありますが、自己判断は禁物です。愛犬の様子がおかしいと感じたら、迷わず獣医師に相談してください。

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Galliprant®(ガルピプラント)

「うちの子は大丈夫?」と不安になる飼い主さんもいるでしょう。以下のような状態の犬は、NSAIDsの副作用リスクが高くなります:

  • 脱水症状がある
  • 腎臓病を患っている
  • 胃腸に問題がある
  • 血液凝固障害がある

長期投与が必要な場合は、事前に血液検査を受けることをお勧めします。6~12ヶ月ごとに定期検査を受けることで、副作用を早期発見できますよ。

NSAIDsと他の薬の組み合わせ

危険な組み合わせに注意

「痛み止めを2種類同時に与えてもいいの?」答えは絶対にダメです。NSAIDsを他の薬と併用する際は特に注意が必要です。

例えば、プレドニゾンなどのステロイド剤と一緒に使うと、胃腸障害のリスクが高まります。薬を切り替える際も、5~7日間の間隔を空ける必要があります。

安全に併用できるサプリメント

「サプリメントなら大丈夫?」はい、以下のようなサプリメントはNSAIDsと併用可能です:

  • オメガ3脂肪酸
  • グルコサミン
  • コンドロイチン硫酸

これらのサプリメントを組み合わせることで、NSAIDsの量を減らせる可能性もあります。愛犬の痛みが落ち着いてきたら、獣医師と相談して投与量を調整してみてください。

よくある質問

犬用NSAIDsの正しい使い方|獣医師が教える安全な痛み止め Photos provided by pixabay

Galliprant®(ガルピプラント)

「ペットショップで売っている痛み止めは?」残念ながら、FDA承認の犬用市販NSAIDsは存在しません。人間用の市販薬を与えるのは非常に危険です。

もし愛犬が誤って人間の薬を飲んでしまったら、すぐに獣医師かペット毒物ヘルプライン(855-764-7661)に連絡してください。早めの対応が愛犬を救います!

NSAIDsはどのくらいの期間使える?

「ずっと使い続けても大丈夫?」長期使用も可能ですが、定期的な健康チェックが欠かせません。愛犬の状態を見ながら、必要最小限の用量で使用しましょう。

散歩の時間が増えたり、階段を楽に上れるようになったりしたら、薬が効いている証拠です。そんな小さな変化も見逃さないでくださいね。

犬用NSAIDsの意外な活用法

投与タイミングのコツ

「薬はいつ与えるのがベスト?」実は、食事と一緒に与えるのがおすすめです。空腹時に飲ませると胃に負担がかかる可能性があるからです。

我が家のトイプードル「マロン」の場合、朝晩のご飯に混ぜて与えています。薬を嫌がる犬には、チーズやピーナッツバターに包むと飲みやすくなりますよ。ただし、獣医師に確認してから試してくださいね。

旅行時の注意点

愛犬と一緒にお出かけする時、NSAIDsを持参する際のポイントを紹介します。まず、薬のラベルと処方箋のコピーを必ず持っていきましょう。

飛行機で移動する場合、機内持ち込みが可能か事前に確認が必要です。車移動なら、直射日光が当たらない涼しい場所に保管してください。先月、友人の柴犬「ソラ」がキャンプに行った時、車内に置き忘れた薬が溶けてしまったなんて笑えない話もありました。

犬の痛みを見分けるサイン

意外な行動変化

「うちの子、痛がっているのかな?」と悩む飼い主さんへ。犬は痛みを隠す習性があるので、些細な変化を見逃さないことが大切です。

例えば、いつもより頻繁に体を舐める、座り方がおかしい、階段を嫌がるなど。我が家のマロンは、痛みがあるとソファーに飛び乗らなくなりました。こんな小さなサインを見つけたら、早めに獣医師に相談しましょう。

痛みの段階別対応

犬の痛みには段階があります。軽度の場合は、サプリメントやマッサージで対応可能なことも。でも、中程度以上の痛みにはNSAIDsが必要です。

痛みのレベル 症状 対応方法
軽度 時折びっこを引く 休息・サプリメント
中程度 常にびっこ・動きたがらない NSAIDs投与
重度 触られるのを嫌がる・食欲不振 即時受診

獣医師との連携ポイント

効果的な問診のコツ

「獣医さんに何を伝えればいい?」診察室で緊張してしまう飼い主さんも多いですよね。実は、動画を撮影しておくのが効果的です。

痛がっている様子や歩き方、普段と違う行動をスマホで記録しましょう。言葉で説明するより、映像の方が獣医師も判断しやすいです。先日、マロンの変な歩き方を動画で見せたら、すぐに適切な薬を処方してもらえました。

薬の効果を記録する

「薬が効いているかどうかわからない」そんな時は、簡単な日記をつけるのがおすすめです。散歩の距離、階段の上り下り、食欲などを記録しましょう。

うちではカレンダーに「◎○△×」で記入しています。◎は元気いっぱい、×は調子悪い日。1ヶ月分のデータを見れば、薬の効果が一目瞭然ですよ。

NSAIDs以外の痛み対策

環境整備の重要性

「薬だけに頼りたくない」という方へ。家の中を犬に優しい環境に整えるだけで、痛みが軽減することもあります。

滑りやすいフローリングにはマットを敷く、ベッドの高さを低くする、階段にスロープをつけるなど。近所のシニア犬「コタロー」君は、ソファーの横にステップを置いたら、飛び降りによる関節への負担が減ったそうです。

適度な運動のすすめ

「痛いなら安静が一番?」実はこれは間違いです。適度な運動は関節の可動域を維持し、筋肉を強化します。

ただし、無理は禁物。短い散歩を複数回に分ける、プールでの運動などがおすすめです。マロンは週に1回、犬用プールで泳いでいます。水の浮力で関節に負担をかけずに運動できるので一石二鳥です。

犬のQOL向上のために

痛み管理のゴール

「どこまで改善すればいいの?」理想は、犬が痛みなく普通の生活を送れること。でも、完全に痛みが消えなくても、QOL(生活の質)が向上すれば成功です。

散歩を楽しめる、ご飯をおいしそうに食べる、家族と遊ぶ。こんな日常の幸せを取り戻すことが、痛み管理の本当の目的です。マロンも薬のおかげで、またおもちゃで遊べるようになりました。

飼い主の心構え

「私の判断で大丈夫かな?」と不安になることもありますよね。でも、あなたが愛犬のことを一番よく知っているんです。

小さな変化に気づき、適切なタイミングで獣医師に相談する。これこそが最高のケアです。私たち飼い主ができることは、知識を身につけ、愛犬の声なき声に耳を傾けることではないでしょうか。

E.g. :オンシオール® | エランコジャパン株式会社 獣医師専用サイト

FAQs

Q: 犬に人間のイブプロフェンを与えても大丈夫?

A: 絶対にダメです!人間用のイブプロフェン(アドビル®)やナプロキセン(アスピリン)は、犬にとって非常に危険です。私たち獣医師が見てきた症例では、胃腸の潰瘍や腎臓障害を引き起こすケースが多くあります。

特に小型犬は少量でも深刻な症状が出やすいので要注意。もし誤飲してしまったら、すぐに動物病院へ連絡してください。代わりに、獣医師が処方する犬専用NSAIDsを使えば、安全に痛みをコントロールできますよ。

Q: 犬用NSAIDsの副作用はどんなもの?

A: 適切に使えば副作用は少ないですが、以下の症状が出たらすぐに獣医師に相談しましょう:

・水を飲む量が急に増えた
・おしっこの回数が増えた
・食欲がなくなった
・嘔吐や下痢が続く

私たちのクリニックでは、投与開始前に必ず血液検査を行い、肝臓や腎臓の状態を確認します。特にシニア犬の場合は、3-6ヶ月ごとの定期検査がおすすめです。

Q: 犬用NSAIDsはどのくらいの期間使える?

A: 長期使用も可能ですが、定期的な健康チェックが欠かせません。例えば関節炎のワンちゃんの場合、数ヶ月~数年使うケースもあります。

私たちは「痛みの程度」と「副作用リスク」のバランスを見ながら、必要最小限の用量を処方します。愛犬の様子を見て「散歩が楽しそう」「階段を楽に上れる」などの変化があれば、薬が効いている証拠ですよ!

Q: 犬用NSAIDsと一緒に与えていいサプリメントは?

A: 以下のサプリメントは安全に併用できます:

・オメガ3脂肪酸(炎症を抑える)
・グルコサミン&コンドロイチン(関節保護)
・MSM(痛み緩和)

私たちがおすすめするのは、まずNSAIDsで痛みを抑えつつ、これらのサプリメントで根本的な改善を目指す方法。症状が落ち着いてきたら、NSAIDsの量を減らしていくことも可能です。

Q: 市販の犬用痛み止めは使ってもいい?

A: 残念ながら、FDA承認の市販犬用NSAIDsは存在しません。ペットショップで売っている「天然成分」と謳った商品も、効果が不確かなものが多いです。

私たち獣医師は、科学的に効果が証明された処方薬をおすすめします。どうしても市販品を使いたい場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してくださいね。愛犬の安全が第一です!

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